喫煙と禁煙
■ 喫煙の害
1987年のアメリカ精神医学会では、「ニコチン依存症」という言葉がはっきり打ち出されています。
「タバコは嗜好品ではなく依存性をもった薬物だ」ということです。
すなわち喫煙をする全ての人は「ニコチン依存症」という病人であるわけです。
血中のニコチンの半減期は約30分で濃度が下がってくると怒りっぽくなる、いらいらするなどの禁断症状が出てきます。
しかし、喫煙開始6、7秒後には脳にニコチンが到達して、禁断症状がおさまります。
禁煙をすると「ニコチンの禁断症状」が襲い掛かるわけです。そのために禁煙を試みる多くの人が失敗するわけです。
実はタバコの害が明らかになってきたのは、ごく最近のことなのです。
喫煙習慣が一般的になったのは紙巻きタバコが機械で大量生産され始めた1860年代以降です。
1930年代になってようやく、健康影響に関する論文が欧米で出始めますが、
こうした問題に注目が集まるようになったのは1950年代以降のことです。
喫煙者の平均寿命は、非喫煙者に比して5〜8年短いことが分かっている。
タバコ1本吸うごとに、寿命が5分30秒縮むという試算もあるそうだ。
タバコの煙の中には約4000種類以上の物質が含まれています。
そのうち有害物質は200種類以上存在しているので、タバコは「毒の缶詰」という呼び名もあるほどです。
代表的な有害物質には、ニコチン、一酸化炭素、タールの他、カドミウム、砒素、
アンモニア、シアン化水素、ダイオキシンがあります。
代表的な有害物質、ニコチン、一酸化炭素、タールについての有害説明を読むだけでも喫煙者は病気になりそうです。
■ ニコチン
血管収縮作用、依存性薬物
中枢神経興奮・抑制
強度の依存性(一説にはコカインやヘロインなどと同等かそれ以上)があるほか、
血管収縮作用や胃酸の分泌促進作用があり、 胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを引き起こします。
肺細胞に吸収され血管を通じて脳へ。
中枢神経系を興奮させ、心拍数の増加や血管の収縮を招く。
心筋梗塞や、脳梗塞の原因になる。
猛毒で、致死量は体重1キログラムあたり1mg以下(青酸カリは2〜3mg)。乳児なら1本で死亡する。
赤ちゃんのタバコ誤飲による事故がよくある。保護者が喫煙習慣がなければありえない事故である。
■ タール
発がん作用、ベンツピレンを代表的に多くの発がん物質
40種類の発がん物質が含まれており、肺がんをはじめ多くのがんを引き起こします。
喫煙者の歯が汚い理由。壁の黄ばみなどの原因にもなる。
■ 一酸化炭素
酸素の250倍の強さでヘモグロビンに結合→体内が酸素不足に
心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。
酸素の運搬を妨害するため、全身的に酸素欠乏を招き持久力や作業能率が低下します。
喫煙者の体内の赤血球は、4分の1が使い物にならない状態とのこと。
空気清浄機などでは一切除去できない。
喫煙による三大病
タバコは様々な病気の原因になるが、その中でも特に因果関係が強いものとして専門家によって指摘されているのが、肺ガン、喉頭ガン、肺気腫の3つ。
肺ガン
大部分の肺ガンが、喫煙が原因であると言われる(図2)。1日に50本以上吸う人の肺ガン発症率は、非喫煙者の15倍に及ぶ。特に、低年齢(中学高校など)から喫煙している人ほど発症率が高い。ちなみに肺ガンは、診断から1年以内に死亡する場合が多く、5年生存率が10%〜15%程度しかない。
喉頭ガン
大阪府立成人病センター元総長の佐藤武男博士のデータでは、喉頭ガン患者1509人のうち、喫煙者は1469人だった。タバコ以外の原因ではほとんどかからないに等しいガン。5年生存率は60〜70%で、比較的治りやすいガンではあるが、声帯を切除することになるケースも多い。
肺気腫
タバコの煙に対する防衛反応として、細胞がたんぱくを分解する酵素を出す。この作用が過剰になる結果として、肺胞の壁が破壊される。この結果、二酸化炭素と酸素のガス交換がうまくいかなくなり、呼吸困難に陥る。肺炎や肺ガンと合併することも多く、一度かかると非常に治りにくい。
タバコは目にも悪影響
タバコの煙に含まれるシアン化水素によって体内のビタミンB12が欠乏し、弱視が起こることがある。
また、喫煙によって血液の流れが早くなりすぎると、血液から酸素が失われ、網膜の視細胞や神経細胞に酸素などが供給されにくくなり、これらの細胞が破壊される。
副流煙も目に悪影響がある。副流煙はアンモニア、ニコチン、ホルムアルデヒドなどを含み、強いアルカリ性になっている。これらが目の粘膜を刺激する。
高血圧、動脈硬化
ニコチンの作用によって、心拍数の増加、血圧上昇、末梢血管の収縮などが起こる。
それと同時に、ニコチンやニコチンによって分泌が促進されるカテコラミン血小板凝集機能を高めるため、血栓が出来やすくなる。
また、一酸化炭素によって血管内皮が酸欠状態になり、内皮に傷がつく。更に悪玉コレステロールを増やす効果もある。
これらの結果として、動脈硬化などが非常に起こりやすくなる。喫煙者の心筋梗塞や狭心症の発症率は、非喫煙者より76%多い。
また、これらの血流の悪化によって、頭の働きを鈍らせるばかりか、脳の老化、痴呆のリスクも高まる。
酸素運搬能力やガス交換の能力が低下するため、運動能力も低下する。
▲女性とたばこ
・たばこと美容
ニコチンは、血行障害を起こさせるため、肌や髪、目などの老化を早めます。
ビタミンCが失われるため、しみなどもできやすくなります。
・たばこと不妊
非喫煙者と比べると、不妊の危険性が高くなります。
・更年期障害
閉経が早く、閉経後の骨粗しょう症や女性ホルモン(エストロゲン)
欠乏症になりやすくなります。
▲胎児へのたばこの影響
・妊娠中の喫煙
早産、流産、死産になりやすく、 低出生体重児も多くなります。
乳幼児突然死症候群のリスクを高めます。
・ 妊娠中の受動喫煙
妊婦本人が喫煙しなくても、他人の吸うたばこ煙を吸い込むことで
低出生体重児のリスクが高まります。
◆◆◆ タバコは、いつやめても「遅い」ということはない ◆◆◆
実際、「禁煙したい」と思っている人は4人に1人、本数を減らしたいと思っている人も含めると6割と、その数は少なくありません。
そういった人にアプローチするには、喫煙の害だけでなく、禁煙のメリットを挙げることも大切でしょう。
たとえば、「禁煙して10〜15年たつと、全体の死亡率が吸わない人と同じになります」と言うと、
「そんなに長くかかるのか。禁煙してもムダだ」と思われがちです。
でも、冠動脈疾患の危険率などは禁煙によって急速に下がりますし、
近年、日本で増えている肺気腫の場合、いつやめても「遅い」ということはありません。
※また、タバコの害は喫煙者だけが受けるわけではありません。
あなたに家族があるなら・・・・・受動喫煙の恐怖を知るべきです!
配偶者のため子供のため・・・・何よりあなた自身のため!
そして、社会のために”禁煙”を実行に移しましょう!
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